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業界を斬る!コラム(9)
サービスが良くて儲からない 2002年1月20日
 
 ≪60%のスクール≫

 1万校あるといわれている全国のスクールの約6割が、1校だけのスペースで営業活動をしている。のっけからわき道にそれるが、2:8の法則はこのあたりにも当てはまり、2割の大手スクールが8割の収益を取っていると思えて仕方がない。

 それはさておき、60%もの1校のスクールの経営者は一体どう考えているのだろうか。生徒とゆっくり行っていきたいので大きくするつもりはない。こういうスクールは夫婦で協力してスクールを行っていたり、人間的にできている人が多い。
 こういう経営者もいる。「私には経営の才能がありませんから」。これはこれで身の丈を知った、自分なりの経営ができるだろう。しかし、多くの場合は次のようなことを平気で言う経営者だ。

 「私はサービスに力を入れています。お客様、生徒あってのスクールです。誠心誠意、努力して続けていれば大きくなるものなんですよ」

 もう少し詳しく解説しよう。
 サービスに力を入れると、必ずお客さんが評価してくれる。働いている社員もやる気が出るだろうし、それを見たお客さんはまた気分が良くなる。そうすればお客さんはどうするだろう。彼らはきっと回りの人にこのスクールを良く広めてくれるに違いない。こうしてお客様の支持を得れば結局それが売上につながり、売上が上がればスクールの展開を行うことができる。これが誠心誠意、発展する商売というものだ。と言うところだろう。
 説得力があるように見える。


 ≪経営上の失敗≫

 しかし、私達がコンサルティングしていて感じるのは、こういった傾向が強いスクールほどいつまでたっても展開などできていないということだ。経営とサービスの違いを履き違えている。いや、正確にはマーケティングとサービスの違いを履き違えていると言っていい。

 経営というのは、いかに会社が発展して足腰を強くし、だからこそお客さんに安心感とより良い機会を提供することができるか、だ。会社が発展することとお客さんに安心感を与えることは表裏一体で、切り離して考えることはできない。それでは経営とは言えない。ボランティアだ。
 「会社が発展して足腰を強くし」の部分がマーケティング。「お客さんに安心感とより良い機会を提供する」の部分がサービスだ。経営はサービスとマーケティングが満たされてはじめて両輪がそろう。

 こう置き換えることもできる。サービスは理想の追求。マーケティングは実利の追求。2つそろってはじめて経営が成り立つ。理想に傾きすぎても、実利に傾きすぎても人はついてこない。

 話を引き戻そう。
 前述のように、サービスに力を入れるスクール運営者は、人間的にできた人が多い。しかし、消費者が向いている方向を見ていないので成功しきることができない。例えば、同じ質の高いカリキュラムを別々の人が考えたとしよう。サービスとしては申し分がない。

 それを片方はアメリカの大学院卒の校長が、駅前のビルに60平米の敷地を借りてスクールをはじめる。もう一方は、日本の高校を出て語学留学を1年行った人が、駅から坂道を登って10分のワンルームマンションではじめたとする。
 このとき消費者はどこを見ているのか。カリキュラムの内容が同じなら、現実に自分にとっての利便性を見ているのだ。いや、むしろカリキュラムよりも先に、利便性を見る消費者も多い。
後者のスクールはいずれ淘汰されていくだろう。

 スクール経営者がサービスを売っているのはこういった心理の人達だ。いい加減に「良いサービス」だけでは通用しないということを直視しなければならない。


 ≪一度自らの経営方法を否定しよう≫

 サービスの質を落とせと言っているのではない。サービスにこだわりすぎて、消費者が本当に望むものが別にもあることに気がつかないのではないですか?と言っているのだ。

 なぜファーストフローがこんなことをいうのか。ちゃんと根拠がある。私達は努力によって前向きに頑張っている小規模のスクールがいとも簡単に、それこそ風に飛ばされたかのようにあっけなく消えてしまうのを見てきているのだ。
 彼らは引き際に至っても「お客さんに喜んでもらえた」「精一杯努力した」「大手の英会話スクールでは考えられないぐらいのサービスを行った」と言う。しかし、それではもう後の祭りなのだ。
 現実を見てほしい。大手の英会話スクールはちゃんと生き残っている。

 サービスに情熱を燃やすスクール経営者が、立ち消えてしまっては、結局彼らの求めるいいサービスを行うスクールが大手になることなど夢のまた夢だ。
 いいサービスという自慢もはかなく散っていくばかりである。

 一度、経営の本質に返る必要がある。英会話スクールに限らず、経営とは金儲けに他ならない。会社という体を健康に保つ血液がお金だ。会社が健康でなければ、どんなにいいことを言っても、逆に言えば言うほど、もうそれを聞くことのできない状況をお客様は想像する。
 スクールが倒産して結局損をするのは今まで支持してくれたお客様なのだ。サービスがよければいいほど、結果的にお客さんを路頭に迷わすことになる。

 スクール経営者は胸に手を当ててよく考えてほしい。あなたは一体誰のために働いているのか。「お客さんのためじゃないか。だからサービスに力を入れているんじゃないか」、と思われるかもしれない。しかし、もう一度自分に質問してほしい。「自分のためではありませんか?」と。
 自分がこだわりのあるサービスをやってみたいだけではないですか?と。

 あなたは経営者なら、社員のために、講師のために、生徒のために、そして彼らと自分の家族のためにも、何が何でも儲ける算段を整えなくてはならない。
 私達は本当にいいサービスを提供するスクールが消えていくことをこれ以上我慢して、黙って見過ごしていられません。少しでも多くのスクール経営者が、せめてこのコラムをきっかけに強い意識を持ってもらえることを、心の底から信じたい気分です。