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業界を斬る!コラム(4)
ブリタニカの倒産に見るもの 2001年11月1日
 
≪世の中の不況≫

 
今年の5月に大手英会話スクールのブリタニカが倒産した。ご存知の方も多いことと思う。アメリカの本部の赤字をまともにくらって、百科事典の売上不振が直接の原因だという説と、世界の中でもある程度利益を出していた日本の英会話スクールが、代表のマーケティング戦略転換によって、売り方をガラっと変えて失敗したという説が有力だ。
 内部事情を正確に把握しているわけではないが、その後の動向を見てみると、どうもどちらも正しいというのが本当のところのようだ。

 世の中不況だ不況だと叫ばれて久しい。英会話スクール業界でも悲観主義者はこの不況と自社の台所事情を結びつけ、「英会話業界も厳しい」と方々に言って回っている者も多い。
 しかし、実際にはブリタニカの倒産はアメリカで起こった一連のテロ以前のことであるから世界同時不況などという理由はまるで成り立たない。まして、BEV(ブリタニカイングリッシュビレッジの略・社員と生徒はブリタニカのことをこう呼んでいた)の経営者が杜撰な経営を行っていたなら不況ではなく、経営手法に問題があるのは自明の理だ。
 まだある。インターネット時代に何十巻もの分厚い百科事典が売れるはずがない。不況のあおりをくらったというよりは、時代の流れに取り残されたというのが正しいスタンスだろう。

 世の中の不況は確かにはっきりと出ているところがある。例えば映画産業は前年比マイナス18%と不振にあえいでいる。しかし、その中でもスクリーンの大きい映画館の集合体が次々とオープンしているのを見ると、業界内での勝ち組みと負け組みがはっきり分かれてきているのを読み取ることができる。
 伸びるところはより伸びる。ダメなところはさらにダメ。これが今の日本の図式だ。
 では、英会話業界はどうか。英会話スクールに限ったことではないが、教育産業全般は前年比プラス17%と高い伸び率を示している。
 少なくとも世の中の業界では期待の持てる数値だ。

 ではなぜ教育業界が伸びているのかというと、理由はやはり不況の一言に尽きる。
 このような不況にあえいでいる時代だからこそ、人はスキルを身につけようとする。また、勝ち組みと負け組みがはっきりすると言うことは、少なくとも勝ち組みに属する組織が勝つために自助努力を惜しまない。例えば、IBMが課長昇進にTOEIC600点以上という基準を設けたことなどはいい見本だ。
 教育熱が上昇する原因がちゃんとあるのだ。
 このような現象は子供の世界にも起こっている。
 20世紀後半の常識では、いい大学に行くために塾に行かせる家庭が多かったのが、さすがに親も世の中を悲観してか、実質上役に立つ英会話やパソコンを習わせるケースが増えた。
 2,3歳から英会話に投資する親が珍しくなくなっているのだから、少なくとも子供英会話を経営しているスクールにとっては朗報だ。


≪倒産の傾向≫

 話が大きくそれた。
 が、不況が英会話スクールの収益に何の影響もない、いや、かえって上昇しているという流れはつかんでいただけたと思う。

 倒産の根本的な原因は、いまさら説明するまでもないが資金が焦げ付くことだ。一番わかりやすいのは赤字だろう。
 しかし、ここに至るまでには根本的・潜在的な要因がある。
 既に書いたように、インターネット時代に分厚い百科辞典を売るような時代錯誤な経営ベースも問題だろう。経営者の間違った方向への独裁も哀れな結末を迎える大きな要因だ。
 しかし、特筆に価する原因がもう1つある。

 95年のバイリンガル、98年のトーザ、そして今年5月のブリタニカに共通している傾向は、強引な勧誘、悪徳な営業だ。
 ブリタニカは我々の分析で言うところの、リンガフォンスタイルに近い形態を採っていたスクールだ。営業員をフルコミッションで契約する方法も採用していた。ブリタニカで10年以上も継続して営業を行っていた純粋な営業員は別としても、かなり強引な方法で売りつけていたということも耳に入ってくる。
 優秀な営業員ベースの経営手法で、悪徳営業員を抱えることは致命的だ。
 バイリンガルはさほどでもないようだが、トーザの強引な勧誘はかなりのものであったらしく、この影響をまともに受けた消費者が立ち上がって通産省(当時)にかけあった程である。
 この結果として、現在の消費者は訪問販売法改正の恩恵を受けることができる。彼らの運動によって法律ができてしまうぐらいだからそのひどさがうかがい知れるというものだ。

 そのトーザも同じだが、ブリタニカも実は営業を停止するぎりぎりまで生徒募集をかけていた。少しでも現金を回収して、倒産に備えようという心積もりであったらしい。生徒からすると首をひねる話だが、何とか収支を計上して撤退したいという経営者の考えはわからなくもない。

 とはいっても、ブリタニカはさすがにトーザのようにひどいわけではなかったらしく、生徒の他校への移転も割とスムーズに済んだと聞くし、事前に日本市場撤退の予告は前もってしていたぐらいだから、それほどは跡を濁さなかったようだ。
 横浜校(当時)では生徒がさよならパーティーを行い、別れを惜しんだ。講師との間には連帯感もあったようだし、サービスに関してはそれほど苦情を聞いたことはない。
 肩を持つような執筆になってきたが、だからといって傾向が否定されるわけではないのだ。
 倒産するスクールの傾向として強引な勧誘は重要なパーツのひとつであるということは、今スクールを動かしているしている経営者も知っておくべきだろう。


≪マーケティングの失敗≫

 直接的な理由を知りたい方はまだ多いと思う。
 代表は一体どのようなマーケティング上のミスを犯したのか、と。既に現存しないスクールなので裏の取りようがないが、現在手元にあるデータを基に検証してみるとこうなる。

 元々ブリタニカの英会話は百科事典と違って電話による営業、俗に言うテレアポが主流を占めていたらしい。今この時代にテレアポがどうかなと思われる読者も多いと思うが、ブリタニカは地道に点数を稼いでいたようだ。
 90年代半ばなどはどこのスクールも同じような方法も採っていたのだから、特にブリタニカだけが特異であったわけではない。ところが、ある時点でこの経営手法を転換し始めた。マスマーケティングに切り替えた。

 我々の言うところのNOVAスタイルだ。
 NOVAスタイルは広報力と、ノウハウが根本となるから、このあたりを培っていなかったブリタニカが急に転換するのにはやや無理があったと思われる。
 いきなりやろうと思ってできるスタイルではないのだ。
 さらに、もう一点不足部分があった。NOVAスタイルの原理原則として「資金力」は避けて通ることができない。これは単発でいかに大きい現金があるということよりも、継続して利益の何10%を広告宣伝費に当てることができるという計算が必要だ。
 特にマス・マスマーケティングは継続してイメージを作らなければ効果がなく、毎月少ない予算しかなければ、費用対効果を考えると出さない方がましだからだ。

 しかし、ブリタニカは出した。
 マスマーケティングの最大のものはテレビのCMだが、何億〜何十億もかかるCMにチャレンジするほどの資金力はなく、単に効果の見込めない、安い部分に一生懸命投資をした。

 過ぎ去ったことをあれこれと議論しても仕方ないが、我々がコンサルティングをしていれば、インターネットマーケティングに力を注ぐ方向と、7アクトスタイルの方向でアドバイスをしていただろう。
 マスマーケティングをするには少なすぎる資金も、インターネットマーケティングに費やすのならある程度の成功は見込めたと思う。体力面からいってもリンガフォンスタイルを周到しつつ、one to oneマーケティングを利用することもできたはずだ。

 ブリタニカの倒産には既存スクールの見るべき教訓が多い。


≪余談≫

 95年、98年、01年と、3年ごとに大手の英会話スクールが倒産している。
 次は2004年に注目すると業界の方向性が見えてくるかもしれない。